向平くんには吃音があった
中学生のときにクラスからひとり
全校委員長の応援演説をする生徒を
選ばなければならなかった
ボクは学級委員としてそのひとりを
くじ引きで決めようと思い
40枚ほどのくじ引きにひとつだけ当たりを作った
吃音の向平君に当たってはまずいと考え
彼の席が教室右側の一番後ろだったので
左側の一番前から1列ずつ順番にくじを引かせた
クラス全員がそれに賛成した
1列ずつ引いて行ったが誰も当たらないまま
くじ引きはついに最後の列になった
誰しもが「まさか・・・」と思った
彼が・・・まさか・・・向平が・・・
クラスメイトたちが初めて同じことを考えた
ひとつになった瞬間だった
その直後・・・
「おー、おー、おれだー、あた、あたたたったー」
という声が教室に鳴り響いた
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